住む人日記

住む人日記04

 昨年の暮れに、写真集を出版した。気がつけば写真を初めてから13年が経ち、仕事としても10年を過ぎようとしている。諸先輩方を思えば、さして長くもなければ、振り返るほどの時間とは思えないが、蔑ろにできるほど短い時間とも言えず、これからの自分のために、なにを思い、なにを視てきたのか、振り返ろうと思った。
 年を経るごとに人が変わるように、写真も移ろいでゆく。そして時代や環境も。あらゆることが、姿形を変えていく。けれども、そうではない、僅かに変化こそすれども、そこにあり続けるものも確かに存在している。草木、人、そして想い、どれもが水のように柔らかく、さまざまな形となって残っていく。私の写真は、そういうものを写すべくあるのだろうと、心の奥底では思っている。
 
 技拓の白鳥さんと出会い、『住む人』というこの媒体を立ち上げたのち、さきに記したことがそのまま、家という存在にも当てはまることに気がついた。写真を続けてきて、楽しいことや幸せなことばかりではなかったけれど、いつも写真が私の傍にあり、心の拠り所だった。生きる活力であり、意味であもある。先日亡くなった祖父も、病床でこの写真集を見せたとき、深く頷く姿が目に焼き付いている。やめずに続けて、良かったと思う。

 そして中目黒のHIKEさんにて、7月17日-8月1日(火・水定休 12:00-18:00)にて、出版記念の展示もできることになった。私を支えてくれるたくさんの皆さまに、感謝です。