「技拓」で住み継ぐ、四季を味わう暮らし
時を経て、趣のある家 10
今野邸:子育てを自然豊かな湘南の地で
“超がつくほど便利な立地”の都心マンションから、今年の春、およそ50キロ離れたここ湘南へ。今野邸の外壁の初々しい木肌が、新生活をスタートしたばかりの一家を象徴している。
当初は「注文住宅」も「湘南」も念頭になかったという今野さん夫妻は、子どもの成長にともない賃貸の住まいが手狭になったことや、都会での子育てに疑問をもつようになったことから、マイホームの検討をスタート。一時はマンションも視野に入れていたが、「子どもをのびのび遊ばせられる庭がほしいという思いが強まり、庭つきの一戸建てという方向が固まった」という。
「住みたい街」と「予算」の兼ね合いのなかで、ふたりの目に魅力的に映ったのが湘南の地。100年住み続けることを考えた家づくりの思想、シンプルなデザイン、サッシなどの機能性の高さが決め手となり、家づくりのパートナーは技拓を選んだ。
「小さくても、家族が楽しく健康に暮らせる家が希望でしたが、それ以外は大きなこだわりはなくて(笑)。床、壁、キッチンなど、技拓さんの仕様そのものが気に入っていたので、ある程度おまかせできることも魅力に感じました」
プランニング中に第2子の妊娠がわかり、出産からわずか2カ月後の今春、新居へ入居。「新しい環境になじむので精一杯で、片づけは二の次。しばらくは新居を味わう余裕はなかったんです」と振り返る妻の百々子さんに対し、夫の博文さんは「4人での新しい暮らしが始まる」という思いを新たにしたという。
新居には長く使える上質な家具を置きたいと、「フリッツ・ハンセン」のダイニングテーブルをはじめ、スタイリッシュなデザイナーズ家具を選び、それらがシンプルな住まいに彩りを加えている。好みのタイルや水栓を採用したキッチンは、百々子さんの “気分の上がる”スペース。手作りのバナナケーキが焼き上がるのを、長男が今か今かと待ちわびている。
「ネオンの光で夜でも明るい都心で暮らしていたので、引っ越したばかりの頃は夜の暗さに慣れなかったのですが、あるとき、2階の寝室に月明かりが差し込んでいるのに気づき、ここへ引っ越してきてよかったって思ったんです」
海も山も身近にある、湘南での暮らしがスタートして半年。庭はまだ手つかずの状態なので、ファッション誌のエディター&ライターの百々子さんは「今は洋服より庭木がほしい気分です」とにっこり。
「家族で土をさわって、庭を整えて、花や草木に季節の移ろいを感じる。都心では体験できない自然と触れ合う暮らしを、ここで、家族と楽しみたいと思っています」
(2021.3竣工)
撮影:太田太朗
取材:志賀朝子